ノルウェー沖エンジン故障客船バイキング・スカイの製造、エンジン、造船所等wiki

CNNによりますと、

 ノルウェー沖で23日、乗客乗員1300人を乗せた大型客船がエンジン故障で立ち往生し、同国チームによる救出作業が続いている。

 救助本部の報道担当者によると、スイスのクルーズ会社、バイキング・クルーズが運航する「バイキング・スカイ」号は同日、悪天候下での航行中にエンジンが故障したとして、ノルウェー西岸沖から救難信号を出した。現場海域の波の高さは6~8メートルに達しているという。

 ヘリコプターが乗客乗員を順に救出しているが、作業は24日までかかる可能性がある。

 23日夜の時点で救出された約115人のうち、少なくとも8人が軽傷を負っていた。船に残った人々にけががあるかどうかは不明だという。

 乗客の1人、米カリフォルニア州在住の女性は、救出の順番を6時間待ち続けていると話した。乗客は食事や飲み物を与えられ、大半が落ち着いて行動しているという。

 バイキング・スカイ号はエンジンのうち1基しか作動していない状態。救助チームは、船が自力で乗客らを安全な港まで運べるよう修理を試みている。

 現場には当初、ヘリコプター5機と数隻の船が派遣されたが、近くで貨物船のエンジンが停止したため、一部はそちらの乗員の救助に向かった。

 バイキング・スカイ号は2017年就航で、乗客の定員は930人。ノルウェー北部トロムソから南西部スタバンゲルへ向かっていた。(CNN) 

https://www.cnn.co.jp/world/35134620.html

・・・とのこと。

一体この船はどの様なトラブルを抱えて外洋航海にでていたのでしょうか?

事故にあった船の経営会社や事故の概要に加えて、船の製造上のトラブルなど気になる情報をWiki風にまとめましたのでどうぞ。

1. バイキング・クルーズ社とは

リバー・クルーズ大手(ドナウ川などの欧州のゆったりと流れる大河で美しい古城や木々や山々などの景観を楽しむ船旅を提供する会社)のバイキング・リバー・クルーズは2013年に外洋クルーズ部門のバイキング・オーシャン・クルーズを設立。

外洋クルーズに用いる運航船としてバイキング・スター(1号船)、バイキング・シー(2号船)と今回遭難しそうになったバイキング・スカイ(3号船)を新造(船は全て同じサイズで造船所も同じです→後述)。

2015年から外洋航海サービスを提供し始めました。

バイキング社の外洋航海サービスは比較的歴史が浅いですが、アメリカの大手旅行雑誌「TRAVEL + LEISURE誌」の読者による投票では、2016年にワールドベスト賞そしてオーシャンクルーズライン部門で第1位を獲得しました。

他にも、
・クルーズクリティック 2016年クルーザーズチョイス賞 ベスト賞3部門
・ベルリッツ クルージング&クルーズ シップガイド 2017,2016中型船部門 第1位(2017バイキング・シー、2016バイキング・スター)

などで高い評価を受けています。

出展:http://fanblogs.jp/cruisecollection/category_18/

 

当会社が提供するサービスの価格帯ですが、7泊で$1,500のリーズナブルなもの(ヨーロッパ周遊)から8ヶ月かけて世界一周する$90,000デラックスなものまで幅広く取り扱っているのが特徴です。

2.バイキング・スカイの製造及びエンジン機能不全

エンジンがストップしたバイキング・スカイ号は先述のとおり、3つ子の船の3番目に製造された船で、船の仕様はバイキング・スター号(1号船)とバイキング・オーシャン号(2号船)とまるっきり同じです。

船の仕様

総トン数 47,800 トン
全長 227.2 m
28.8 m
喫水 6.3 m
主機関 ディーゼル・エレクトリック
最高速 20.0ノット
旅客定員 930名
客室数 465室
乗組員 602名
値段 約2億5千万ユーロ。(約312億円)

造船所はイタリアのフィンカンティエリ社のマルゲラ工場。船籍はノルウェーのベルゲンです。

2016年の3月23日に製造開始、2017年1月26日に完了。処女航海が2017年の2月25日でした。

Viking Sky cruise ship propulsion details

Viking Sky is equipped with four MAN 32/44CR engines powering Rolls-Royce Promas propulsion and manoeuvring system. The Promas system incorporates the propeller and the rudder in a single unit to increase the hydrodynamic efficiency. The propulsion unit includes six-bladed 4.5m-diameter fixed-pitch mono-block propellers.

Rudders and propellers were designed and developed by the Rolls-Royce Hydrodynamic Research Centre in Sweden. The model testing of the Promas system was performed by MARIN.

出展:https://www.ship-technology.com/projects/viking-sky-cruise-ship/

バイキング・スカイのエンジンはロールス・ロイス社製でMAN 32/44CR。通常ですと、同社のエンジンは信頼性が高く、滅多にこの様な事故をひきおこすことがありません。

何が問題を引き起こしたのでしょうか?

Maritime Bulletin reader from Netherlands, Mr. Jan Verloop, shared with MB his version of VIKING SKY troubled engines, explaining how and why engines stalled. I believe his version to be very plausible.
Reading the current reports about the Viking Sky distress, I am reminded about the 2012 incident off Alaska when the drilling rig Kulluk ran ashore after its tug Aiviq suffering “engine problems”. The Aiviq engines were OK but suffered from bad fuel, causing all 4 engines to stall.
In both cases the vessels where fairly new and have a diesel-electric drive system. In both cases it was bad weather with a heavy rolling ship. My feeling is that fuel oil got mixed with available water, air and tank residue causing a foam type slurry that upsets fuel filters and centrifuges. Let’s wait and see what the investigations will show

出展:https://www.fleetmon.com/maritime-news/2019/25617/what-caused-viking-sky-trouble-and-near-disaster-w/

Maritime Bulletin誌の読者、Jan Verloop氏は、「今回のバイキング・スカイの事故は2012年にアラスカで発生したタグ・ボートのAiviqがおこした事故と似通っています。Aiviq号のエンジンは当初、何も問題なく航行されていたのですが、燃料の質が悪く突如4つのエンジン全てが止まり航続不可能になってしまいました。Aiviq号もバイキング・スカイ号のどちらも比較的新しい船で且つディーゼル電気駆動エンジンを採用しています。そして、どちらの船も悪天候の中波に揉まれながら航海していました。その様な状況下において、(私が想像するに)燃料が水、空気そして燃料タンク内に残っていた残留物がまざりあってしまい泥漿状態となり、燃料フィルターを詰まらせ、燃料の遠心分離器が機能不全に陥ったのでは無いか?ただし、あくまでも想像なので調査結果を待ちましょう」と推測されています。

3.バイキング・スカイの事故の概要

事故当時の船内や外観の動画を入手しましたのでご覧ください。

ショッキングな動画ですのでご気分が悪くなられるかもしれません。

あらかじめご承知おき願います。

 

乗客の大半は英国と米国からで他にも14カ国からの乗客もいた様です。

乗客とクルーメンバー合わせて1,373名が乗船しており、その内の479名の乗客がヘリコプターにより救助され、20人が病院に運ばれました(海上は波が高く船では近づくことができなかった模様です)。

その後、クルーメンバーと船に残っていた乗客はタグボートに曳航されバイキング・スカイ号ごとノルウェー西部のモルデ港に無事に到着したとのこと。

軽傷の方はおられるもののほとんどの方が無事だった様です。

4.ネットの声

 

・・・と皆様一同に心配されていました。

5. まとめ

乗客が全員無事だったことは幸いでした。

エンジンが止まった理由は現在調査中とのことですが、原因を究明し、今回の様な事故の再発を防ぐことができれば・・・と願っております。

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